「怒り」を観てきました。
「怒り」
『横道世之介』『さよなら渓谷』などの原作者・吉田修一のミステリー小説を、『悪人』でタッグを組んだ李相日監督が映画化。現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に三つのストーリーが紡がれる群像劇で、前歴不詳の3人の男と出会った人々がその正体をめぐり、疑念と信頼のはざまで揺れる様子を描く。出演には渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡など日本映画界を代表する豪華キャストが集結。 予告を観た時から観たいな~と思ってて、結構評判もいいし、シネコンの1000円チケがあったから観よう!
と決めて観たのですが、ふむ、私にはなんだか物足りませんでした。
以下、ネタバレあり。
いや、映画自体は面白い。3つの、それぞれの人間関係がオムニバス形式で進んでいくんだけど、そのキーとなってるのが1年前に起きた惨殺事件。その犯人が逃走していることで、この犯人とは全く関係のない家族とゲイカップル、そしてこの犯人と関わってしまう女子高生とその友人。
この3組はそれぞれの別の土地での話なので交作しない。けど、TVの公開捜査の似顔絵や監視カメラ映像によって翻弄される。
殺人事件とその犯人の逃走が物語の始まりだけど、この作品が伝えているのは、人をどれだけ信じられるか、信じ続けられるか、信じるというのは非常に脆弱で、ほんの少しの疑う心によって壊れて行ってしまう。
それぞれのキャストがそれぞれの役柄を素晴らしく演じていたけど、なのに、なんだか自分にはピンとくるものがなかったかな。
そもそも、なぜ、そんな素性もわからぬ人間をすぐ信じられるのか。
言いたくないと言われても、そこははっきりさせようよと思っちゃうし、借金取りから逃げてるという話なら、少し調べてみればすぐわかる。なぜ、それをしないで信じて、そして疑って、また信じる?と思っちゃうのだ。
まあ、でも、人と人との出会いなんてそんなもので、信じると思ったそこから「信頼」は始まる。
だから、千葉の漁師親子とそこに3か月前に現れた青年、ゲイカップルの信頼の進み方、恋が進んでいくのはわかる。
が、沖縄の話はな、うーん、なんでそんな明らかにおかしい人間を信じる?と思ってしまうのだ。誰もいない島に住み着くなど、何かしらあると疑っておかしくないのに。
あ、すずちゃんはいい女優さんになりそうだね。すずちゃんのような女優さんだったら、今までだったら明るく爽やかな青春映画いっぱいやって、ある程度年齢行ってから挑戦的な役をするってのが流れのような気がするけど、今回の役はすごく大変だったろうな
と思う。あと、友人の男の子もすごく良かった。
素朴な感じから、責任を感じ、悩み、そして…という所が素晴らしい。
どの役者もほんと素晴らしい。もう1回見てもいいと思うほどに。
私がたぶんちょっと冷めてしまったのところが、犯人の新しい情報が公開されました、つってエレベーターの中の映像が流れた部分かな。明らかに、松ケンの顔になってるんだもの。その前までは松ケンにも綾野君にも森山君にも見える絶妙な写真しか出てこなかったのに。だからこそ、やっぱあの映像も絶妙にしてほしかったな。
まあ、でも物語上、あの映像によって田代は疑われるんだから、松ケンに見えなきゃいけなかったのかもだけど。
でもって、やっぱり犯人がなぜ逃げてるのかがいまいちだったからかなー。
明らかにサイコパス系の殺人者なのに、逃げる。逃げたことによって、なんだよ、結局大した異常性は持ってないのかよ、と思ってしまった。そんなところが物足りなく感じて、結局、全体的に物足りなく感じちゃったのかも。
次回観るとしたらCSとかで流れた時でいいかな。ちょっと上映時間が長いからね。
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